耳の診療について

耳の痛み

耳の痛みは、急に起こる場合と、徐々に起こって持続する場合があり、疾患として、感染が原因となることが多く痛み、耳漏を生じます。
感染以外にも外傷が原因になることもあります。

かゆみ

耳のかゆみは、表皮の慢性炎症や湿疹などにより生じ、感染やアレルギーが関係します。

聞こえにくい、耳がつまった感じ

難聴は、空気の振動(音)の通り道として、外耳道、鼓膜、中耳、内耳、聴神経に何らかの障害が起こった場合に生じます。

耳鳴り

耳鳴りは、周りの音とは別に、キーンとかジーとか音を自覚する状態で、周囲の人にはその耳鳴りそのものは聴こえません。
日中も耳鳴りがしている場合と、日中は周りの音にまぎれて気になりませんが、夜寝静まった時に気になって眠れないこともあり、日常生活に支障を来たします。
耳鳴りの原因は特定できないことが多く、耳鳴りを生じる状態としては、主に内耳の蝸牛および蝸牛神経に何らかの障害が起こっています。

耳の構造と動き

構造

外から見える耳介と、その奥の管状の外耳道、奥の突き当たりには鼓膜という薄い膜があり、さらに奥の中耳と、内耳(蝸牛と前庭半規管)、聴神経から成り立っています。

  • ■耳介から鼓膜表面までは表皮(皮膚と同じ性質)で覆われています。
  • ■鼓膜は、奥の内側(中耳側)は薄い粘膜で覆われています。
  • ■中耳腔は全体が粘膜でおおわれて、内腔は空気で満たされています。
  • ■その中耳の中には耳小骨という三つの小さい骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)があります。
  • ■その奥には内耳があり、蝸牛と前庭半規管に分かれています。
  • ■さらに奥には内耳と脳をつなぐ聴神経があります。

働き

外耳道は皮膚で覆われていますが、表皮の細胞の代謝によって外からの細菌を防御する機能があります。
外からの音の波は外耳道を経由して、鼓膜で受け止めて、中耳の中の耳小骨を伝わって奥にある内耳の蝸牛に伝えていきます。

また、中耳は鼻の奥とつながっていて、鼻の奥にある上咽頭粘膜から耳管という管を経由して、中耳への空気の出入りを調節しています。
中耳の中の空気は、正常な場合は外の大気圧とバランスが取れていて、鼓膜が外からの音の波を受け取りやすい状態になっています。

内耳は、耳の一番奥にあり、聞こえをつかさどる蝸牛と、平衡(体のバランスを取る)に関係している前庭半規管から構成されています。

蝸牛は、ちょうどカタツムリの形をしていて、中耳から伝わってきた音の波を周波数ごとに電気信号に変換しています。

聴神経は、内耳の蝸牛で変換した神経信号を脳に伝えて、実際に聴こえている感覚を脳で知覚することができます。

体の平衡(バランスを取る)に関係している前庭は、重力の方向を感知し、半規管は頭や体の回転を感知します。